Vela に資産を預ける前に
私たちは Base Account(現在は Coinbase Wallet の一部)を毎日使っていて、気に入ってもいました。それでも壁に突き当たりました。ただ信じるしかないウェブサイトの上で作られるリカバリーフレーズ。カスタムネットワークを追加できないこと。自分でホストできるものが何もないこと。そして、コードが公開されていない署名サービス。そのサービスがなくなれば、パスキーからアカウントにたどり着く公開された手段はありません。
Vela は、私たち自身がお金を置いておく気になれた版です。パスキーでの署名は残したまま、ウォレットが私たちに依存しないようにしました。
長い版 — ほかのウォレットで受け入れられなかったこと、そして私たちが選んだトレードオフVela を使わない理由が三つ。お金をまだ移していないうちに。
Vela の取引はパスキーの署名をオンチェーンで検証し、ERC-4337 を通して実行されるため、通常の送金の数倍のガスを使います。
払う手数料はひとつだけで、取引を送信するリレーに支払います。変更しないかぎり、それは Vela のリレーです。金額は、ウォレットが確保するガスの 3 倍を、選んだ速度の価格で計算したもので、最低額は 0.01 ドルです(計算方法)。リレーはそこからガス代を払い、残りを受け取ります。正確な金額は署名の前に表示され、署名後に変わることはありません。
ウォレットの接続先を別のリレーに変えることも、自分で動かすこともできます。その場合、手数料はそのリレーを動かしている人に入ります。
鍵はウォレットを作成するときに最大 7 本まで選び、あとから変更することはできません。
Vela は 1-of-n です。そのうちどれか 1 本だけで、ウォレットの資金を動かせます。鍵を 1 本増やせば、どれかをなくしたときに戻れる道が 1 本増えます。同時に、守らなければならない鍵も 1 本増えます。
あなたのウォレットは、改変していない Safe v1.4.1 と、Safe のパスキーモジュールおよび ERC-4337 モジュールの上で動いています。いずれも第三者による監査報告書が公開されています。ただし監査は問題を見つけるものであって、問題が残っていないことを証明するものではありません。
Vela 自身のアプリとサービスは第三者による監査を受けておらず、その予定もありません。コードは公開されていて、誰でも読めます。
このうち 1 つでも受け入れられないなら、Vela はまだあなた向きではありません。
| Vela | MetaMask | Base Account | |
|---|---|---|---|
| アカウントの種類 | Safe v1.4.1 スマートアカウント | EOA。新規ユーザーは既定でスマートアカウント(EIP-7702)にアップグレード | Coinbase スマートアカウント |
| すべてを自分で動かす | アプリとバックエンドサービス。ただしセルフホスティングガイドに挙げた制約あり。パスキーは getvela.app に紐づいたまま | クライアントと RPC は自分で選ぶ・動かせる | 不可 |
| ソースコード | アプリとサービスを公開。すべて MIT | 公開。ただしライセンスは非商用利用のみ許可 | コントラクトと SDK は公開、署名サービスは非公開 |
| カスタムネットワーク | Vela の要件を満たす EVM ネットワークならどれでも。足りないコントラクトの多くは自分でデプロイできる | カスタムの EVM ネットワークと RPC | 決められたネットワークのみ |
| 署名する鍵 | パスキーまたはセキュリティキー、最大 7 本 | シードフレーズに対応する秘密鍵。ハードウェアウォレットにも対応 | パスキーまたはリカバリーフレーズ |
| あとから鍵を追加 | 不可 — 鍵は作成時に確定 | 不可 — 1 アカウントに鍵は 1 本 | 対応 |
| 鍵を 1 本なくしたら | 追加済み・同期済みの別の鍵で署名 | シードフレーズから復元 | 追加済み・同期済みの別の鍵で署名 |
| 取引のガス | ERC-4337 のオーバーヘッドに加え、ガスの倍数で決まるリレー手数料 | 通常の取引のガス | ERC-4337 のオーバーヘッド |
| ガス代の肩代わり | なし | 一部のネットワークで対応 | アプリが負担する場合 |
| バッチ取引 | 対応 | EIP-7702 のスマートアカウント経由で対応 | 対応 |
| 署名前のデコード | 対応 | 対応 | 対応 |
| 追加の確認 | Trusted Signer。単独でデコードして署名する独立したページ(選んだ場合) | 第三者によるリスク警告 | — |
| 成熟度 | 新しく、利用者は少ない | 長年の実績、大きな利用者層 | Coinbase が保守 |
お金を払うのは便利さに対してで、使う権利に対してではありません。
ウォレットのアドレスは、どのネットワークでも同じです。別の EVM チェーンを追加するときは、EIP-7951 / RIP-7212 プリコンパイルと、必要な Safe・ERC-4337 のコントラクトがそろっているかを Vela が確認します。足りないコントラクトがあれば、チェーンのセットアップでどれが足りないかがわかり、誰でもデプロイできるものはそこからデプロイできます。
ネットワークと手数料の詳細はい。パスキーが属するドメインだけは例外です。アプリと、それを支えるすべてのサービス(リレー、公開鍵インデックス、チェーンデータ、為替レート)は MIT ライセンスで、Docker か Cloudflare Workers で動きます。アプリには、接続先を自分のサービスに向ける設定もあります。セルフホスティングガイドでは、それぞれの動かし方を、一部のアプリにまだ残っている制約も含めて説明しています。
パスキーは getvela.app に紐づいているため、ウェブウォレットのコピーを自分のドメインで動かすと、別のウォレットになります。既存のウォレットには、ブラウザ拡張と自分でビルドしたアプリで引き続き署名できます。
資金はオンチェーンのあなたの Safe に残ります。Vela が動かしているサービスはすべてオープンソースで、リレー、公開鍵インデックス、チェーンデータ、為替レートのどれも、自分で動かせます。
getvela.app がオフラインになっても、Vela のブラウザ拡張ならいまお持ちの鍵(この端末のパスキー、セキュリティキー、QR コードでつないだスマホ)で署名できます。自分でビルドしたアプリでも、スマホかセキュリティキーがあれば署名できます。
はい。Rust で書かれた vela-relay を、Docker か Cloudflare Workers で動かします。各チェーンのコインをトレジャリーに入金し、リレーの URL をウォレットに入力してください。そうすれば、署名した手数料は自分のトレジャリーに入るので、ウォレットとリレーを合わせて見れば、払うのはおおよそ実際のガス代だけになります。
リレーは vela-relay である必要があります。ウォレットは手数料の見積もりを、汎用の ERC-4337 バンドラーが実装していないメソッドで求めるからです。
パスキー(iCloud キーチェーン、Google パスワードマネージャー、またはほかのパスワードマネージャーで同期)、QR コードでつなぐ別のスマホ、そして FIDO2 のハードウェアセキュリティキーです。鍵は 1 本から 7 本まで、ウォレットを作成するときに選び、そのあとは変更できません。どれか 1 本で署名できます(1-of-n)。同期されない鍵が 1 本だけの場合(セキュリティキー 1 本など)は、もう 1 本必要です。
シードフレーズもメールアドレスも、最初の残高も要りません。
同期されたパスキーは、新しい端末で取り戻せます。同期されていない鍵をなくした場合、その鍵は二度と戻らないので、追加しておいた別の鍵で署名します。それが唯一の鍵だったなら、ウォレットは失われます。
パスキーのどれかを同期しているアカウントが乗っ取られると、そのアカウントを握った人が、あなたのウォレットから資金を動かせてしまうおそれがあります。しかも鍵は削除できません。そのアカウントに依存しない鍵で新しいウォレットを作り、資金を移してください。ハードウェアセキュリティキーなら、最初からその依存がありません。
使えます。dApp からは、Vela はほかのブラウザウォレットと同じように見えます。
Vela のブラウザ拡張と、デスクトップ(macOS・Windows)・iPhone・Android の各アプリに内蔵されたブラウザで使えます。ウェブウォレットは dApp に接続できません。
Vela はあなたのウォレットの鍵を一切持たず、ウォレットに対する権限もないため、単独で資金を動かしたり凍結したりすることはできません。ただし、あなたの鍵に署名を求めるソフトウェアを書いているのは Vela です。
メールアドレスもアカウント登録も不要です。公開鍵、それぞれの鍵の認証器の種類、鍵の名前、ウォレット名、アドレスはオンチェーンで公開されます。Vela のサービスには、あなたの IP アドレスと、そのサービスを通じて送った取引が見えます。トークンの発行者がアドレスをブロックリストに入れることは、それでも起こり得ます。