セルフホスティングガイド

あなたの資金はオンチェーンの Safe コントラクトにあり、あなたの鍵で管理されています。Vela が動かしているものは、どれもそれを動かせません。Vela が動かしているのは、ウォレットを便利にするための仕組みです。取引を送信するリレー、新しい端末がウォレットを見つけるためのインデックス、チェーンデータのディレクトリ、為替レートの配信、そしてアプリそのものです。

このページでは、そのひとつひとつについて、何をしているのか、それがないと何が困るのか、自分で動かすにはどうするのかを説明します。置き換えられない唯一のもの、つまりパスキーが属するドメインと、getvela.app がなくなったときにどうすればいいかも扱います。

全体像

構成要素役割Vela の既定置き換えられるかないとどうなるか
リレー署名済みの操作を受け取り、ガス代を払って送信し、あなたが署名した手数料を受け取るvela-relay-cf.getvela.appできる。vela-relay を動かし、ウォレットの接続先にする送金できない
公開鍵インデックス新しいウォレットの鍵をオンチェーンに登録し、「この鍵はどのウォレットのものか」に答えるp256-index-v2.getvela.appできる。p256-index を動かす新しいウォレットを作成できない。サインインはチェーンの直接読み取りに切り替わる
レジストリコントラクト各ウォレットの鍵の、永続的な公開記録Gnosis 上の 0x94fD…1EA9不要。所有者がおらず、ウォレットが直接読み取る
チェーンデータネットワークの情報、トークンの一覧、ロゴ、クリア署名のディスクリプターethereum-data.getvela.appできる。ethereum-data を動かすトークンの一覧やロゴがない。デコードできる取引が減る。ネットワークを追加できない
為替レート表示通貨での法定通貨換算額vela-currency.getvela.appできる。vela-currency か、Frankfurter 互換の任意のソースを動かすアプリは可能な範囲でオンチェーンの Chainlink のレートに切り替える(デスクトップは米ドル表示)
RPC ノード残高の読み取り、取引のシミュレーションネットワークごとの公開エンドポイントできる。「設定 → ネットワーク」でネットワークごとにVela がエンドポイントを自動で切り替える
アプリウォレットそのものwallet.getvela.app、リリースビルドできる。自分でビルドする
getvela.appパスキーが属するドメインできない後述

Vela のものではない、第三者のサービスにもいくつか接続します。取引をデコードする最後の手段として使う公開の関数セレクターデータベース(sourcify、openchain、4byte)、セキュリティキーの機種名を表示するための認証器ディレクトリ、そして QR コードを読み取ってスマートフォンで署名するときに通る Apple と Google のトンネルサーバーです。

置き換えられない唯一のもの:パスキーのドメイン

パスキーは、作成されたウェブサイトに属します。Vela の鍵は getvela.app のために作られています。ブラウザがそれを提示するのは getvela.app とそのサブドメイン上のページ(または getvela.app が関連オリジンとして宣言したオリジン)だけで、スマートフォンに内蔵されたパスキーは、getvela.app が認めたアプリでしか使えません。ブラウザの外では、ルールはもう少しゆるやかです。Chrome は getvela.app へのアクセス権を持つ拡張機能にそれを使わせますし、パソコン上のプログラムは、セキュリティキーやスマートフォンに getvela.app 向けの署名を直接求められます。自分でビルドしたアプリはこの仕組みで動いており、どのソフトウェアを動かすかが重要になるのもこのためです。ここから 2 つのことが言えます。

自分のドメインで動かすウェブウォレットのコピーは、別のウォレットです。wallet.example.com から配信すれば、同じコードでも wallet.example.com 用のパスキーを作ります。新しい鍵、つまり新しいアドレスです。wallet.getvela.app で作ったウォレットのために署名することはできません。それでもこのコピーには使い道があります。そこで新しく作るウォレットのため、あるいはすべてを最初から自分で動かすためです。

既存のウォレットについては、getvela.app がオフラインになっても、なくなっても、次の方法が使えます。

使い方使える鍵入手先
Vela のブラウザ拡張(Chromium 系のブラウザ:Chrome、Edge、Brave)ブラウザから使えるあらゆる鍵:この端末のパスキー、USB セキュリティキー(パソコンが対応していれば NFC も)、QR コードでつなぐスマートフォンGitHub のリリース zip、または自分でビルドする
自分でビルドしたデスクトップアプリやスマートフォンアプリQR コードでつなぐスマートフォン、USB セキュリティキー自分でビルドする
ストア版と公証済みのデスクトップアプリQR コードでつなぐスマートフォンとセキュリティキーは常に使える。「この端末」のパスキーは、OS がアプリを getvela.app と照合できるあいだだけGitHub のリリース(ストアは今後)

拡張機能で getvela.app の鍵を使えるのは、Chrome が、あるサイトへのアクセス権を持つ拡張機能に、そのサイトのパスキーを使わせるからです。このアクセス権はブラウザがローカルで確認します。動作することは実測で確かめていますが、ドメインが実際にオフラインの状態ではまだ試していません。自分でビルドしたアプリでスマートフォンやセキュリティキーを使えるのは、Vela がそれらと直接やり取りするからです。スマートフォン自身のパスキー(「この端末」)を使うには、アプリが Vela によって署名されている必要があり、あなたがビルドしたものはそうではありません。

署名ページは、それだけでは使い方のひとつになりません。ほかのプログラムから送られてきたリクエストに署名するものですが、まだどの Vela のアプリもリクエストを送らないからです。

ウォレットの接続先を自分のサービスにする

各アプリの 設定 → 詳細設定 → サービスエンドポイント(デスクトップでは 設定 → サービスエンドポイント)に、4 つの欄があります。チェーンデータインデックスパスキーインデックスVELA RELAY法定通貨レートです。変更するまで、各欄には Vela の既定値が表示されます。デフォルトに戻すを押すと、4 つすべてが元に戻ります。リレー、インデックス、チェーンデータについては、ウォレットが /api/health を呼び出してバッジを表示します。バッジが緑になるのは、エンドポイントが正しいサービス名を返し、status: "ok" を報告したときだけです。入力した内容は、どちらの場合も保存されます。緑になるのを待ってください。

サービス/api/healthservice
リレーvela-relay
公開鍵インデックスwebauthn-p256-publickey-registry
チェーンデータethereum-data
為替レート名前では確認しない。米ドル基準のレート一覧を返す必要がある

4 つのアプリはいずれも 4 つの項目すべてに従います。しかも、変更したエンドポイントは次回の起動ではなく次の呼び出しから効きます。ウォレットの作成、サインイン、アドレスの名前の検索 —— どの経路も、実際に使うその時点でエンドポイントを読むからです。iOS では、既定のインデックスに接続できないときに、サインイン画面でパスキーインデックスを変更することもできます。

(2026 年 9 月までは、これに 4 つの例外がありました。いちばんひどかったのは、仮の値を表示して何も保存しなかった iOS の画面です。いずれも直っています。)

自分のリレーを動かす

リレーは vela-relay(Rust、MIT)です。ひとつのデプロイメントですべてのチェーンを扱い、ウォレットは https://your-relay/<chainId> を呼び出します。vela-relay である必要があります。ウォレットは Vela 独自のメソッドで手数料の見積もりを求めますが、汎用の ERC-4337 バンドラーはこのメソッドを実装していないからです。

必要なもの

  • Docker と、すでに動かしている Redis と Iggy のサーバー。または Workers Paid プランの Cloudflare アカウントと、手元のマシンの Node.js、Rust ツールチェーン(wasm32-unknown-unknown ターゲット付き)。
  • OPERATOR_SECRET(16 進数、32 バイト以上)。ここからトレジャリーのアドレスが 1 つと、リレーヤーのアドレス群が導出され、どのチェーンでも同じになります。秘密にしてください。リレーの資金を管理する値です。
  • 扱いたいすべてのチェーンでのガス代。チェーンのコイン(Tempo では pathUSD)をトレジャリーのアドレスに送ってください。トレジャリーがリレーヤーに補充します。

Docker

git clone https://github.com/mondaylabsltd/vela-relay
cd vela-relay
cp .env.example .env
# .env に VELA_RELAY_IGGY_URL、VELA_RELAY_REDIS_URL、OPERATOR_SECRET を設定し、
# 自分のチェーンデータを動かすなら VELA_RELAY_CHAIN_DIRECTORY_URL も加え、
# VELA_RELAY_IMAGE を信頼できるリリースイメージにする(docs/docker.md を参照)
docker compose pull relay
docker compose up -d --no-build
curl --fail http://127.0.0.1:4567/readyz

どちらでも動きます。公開されているイメージがいちばん手軽で、docker compose up --build は、あなたが読めるソースから同じものをビルドします。Docker を使わない場合は、cargo run --release --bin vela-relay で直接動かせます。

Cloudflare Workers

cd vela-relay/vela-relay-cf
npx wrangler queues create vela-relay-ops
npx wrangler queues create vela-relay-dlq
npx wrangler secret put OPERATOR_SECRET
# 自分のチェーンデータを使うなら、wrangler.jsonc の "vars" に "VELA_RELAY_CHAIN_DIRECTORY_URL" を追加する
npx wrangler deploy

確認する

curl https://your-relay/api/health        # {"service":"vela-relay","status":"ok",…}
curl https://your-relay/v1/treasury/100   # Gnosis でのトレジャリーのアドレスと、ガスの補充が必要かどうか

そのあと、https://your-relayVELA RELAY 欄に入力します。

知っておくこと

  • ウォレットが払う手数料は、あなたのトレジャリーに入ります。どのリレーを使っても、ウォレットは同じ方法で手数料を計算します(ネットワークと手数料を参照)。
  • リレーを変更する前に追加したカスタムネットワークは、追加したときのリレーのアドレスを使い続けます。
  • リレーは、各チェーンの情報と、受け付けるステーブルコインの一覧を、チェーンディレクトリから読みます。VELA_RELAY_CHAIN_DIRECTORY_URL自分のものを設定しないかぎり、読み先は ethereum-data.getvela.app です。この設定は vela-relay v0.9.6 以降で使えます。それより古いビルドは、常に Vela のコピーを読みます。

自分の公開鍵インデックスを動かす

インデックスは p256-index(Rust、MIT)です。ウォレットが作成されると、インデックスは各鍵の証明を確認し、鍵の組を Gnosis のレジストリコントラクトに書き込んで、ガス代を払います。既存のレジストリ 0x94fD1A891EB6c5F340622Baf2F3A0cb70A941EA9 をそのまま使ってください。所有者がおらず、資金のあるアドレスなら誰でも書き込めて、すべての Vela のアプリがそれを直接読み取ります。自分で別のレジストリを作っても、アプリからは見えません。

必要なもの

  • Docker と Redis、Iggy(サーバー版)、または Cloudflare アカウント(Worker 版。その README には、オンチェーンへの書き込みはまだ端から端までテストされていないと書かれています)。
  • xDAI の入った Gnosis の秘密鍵。ウォレット 1 つの登録には、鍵 1 本で約 110 万ガス、7 本で約 360 万ガスかかります。
  • 次の設定。
P256_INDEX_IGGY_URL=iggy+tcp://user:password@iggy.example:5100
P256_INDEX_REDIS_URL=redis://redis.example:6379/0
P256_INDEX_CONTRACT_ADDRESS=0x94fD1A891EB6c5F340622Baf2F3A0cb70A941EA9
P256_INDEX_DOMAIN_REGISTRY=0x5266DfF591B9F9EecfEdb8E7EfEf6c687854edaf
PRIVATE_KEY=0x…

P256_INDEX_DOMAIN_REGISTRY は、よく見落とされる項目です。これがないと、サーバーはコントラクトが拒否するチャレンジを発行し、すべての登録が失敗します。.env.example に入っており、デプロイ済みコントラクト自身の DOMAIN_REGISTRY と一致していなければなりません。レジストリの VERSION 12 以降、チャレンジのドメインはデプロイ時に固定されるので、コントラクトを再デプロイしても変わりません。

動かして確認する

git clone https://github.com/mondaylabsltd/p256-index
cd p256-index
cargo run --release -p p256-index-server
curl https://your-index/api/health   # "service":"webauthn-p256-publickey-registry","status":"ok"

サーバーは暗号化なしの HTTP(既定のポートは 11256)で待ち受けます。ウォレットは https:// のエンドポイントしか受け付けないので、前段に TLS プロキシを置いてください。docker build -f p256-index-server/Dockerfile . は、クローンしたばかりのリポジトリでも通ります。Compose を使う場合は、先に .env.examplep256-index-server/.env にコピーしてください。

どのインデックスもまったく応答しない場合でも、既存のウォレットは使えます。サインインのとき、アプリはあなたの RPC ノードを通じて Gnosis(次に Ethereum)のレジストリコントラクトを読みます。鍵が 1 本のウォレットなら、レジストリを使わずに、署名 2 つから再構築することさえできます。新しいウォレットの作成には、インデックスが必要です。登録の費用を誰かが払わなければならないからです。

自分のチェーンデータを動かす

チェーンデータは ethereum-data(MIT)です。約 2,600 のネットワークとそのトークンについての静的な JSON と画像、そして Vela が取引を説明するのに使う ERC-7730 のディスクリプターです。

docker run -d --name ethereum-data -p 3000:3000 --restart unless-stopped 
  ghcr.io/atshelchin/ethereum-data:latest
curl http://localhost:3000/api/health   # "service":"ethereum-data","status":"ok"

ソースからのビルドと Cloudflare へのデプロイについても、README で説明しています。HTTPS で配信し、そのアドレスを チェーンデータインデックス 欄に入力してください。

リレーもこれらのファイルを読みます。その中には Vela 独自のフィールドもあります(手数料の支払いに使えるステーブルコインは stables の一覧で決まります)。VELA_RELAY_CHAIN_DIRECTORY_URL=https://your-chain-data で、リレーの読み先を自分のコピーにしてください。リレーは各ネットワークのエントリを 1 時間キャッシュします。

自分の為替レートを動かす

vela-currency(MIT)は、欧州中央銀行が毎日公表するレートを再配信します。キーは必要ありません。

docker run -d -p 8080:8080 -v rates-data:/data ghcr.io/mondaylabsltd/vela-currency:latest
curl "http://localhost:8080/v2/rates?base=USD"

https://your-host/v2/rates?base=USD法定通貨レート 欄に入力してください。Frankfurter 互換のサービスなら何でも使えます。?base=USD は外さないでください。すべての換算がこれを前提にしています。

アプリを自分でビルドする

すべてのアプリはひとつのリポジトリ(MIT)にあります。各アプリのビルド手順は README にあります。要点は次のとおりです。

アプリビルド既存の getvela.app のウォレットのために署名できるか
ブラウザ拡張cd app-web/vela-wallet && pnpm install && pnpm build:extension のあと、chrome://extensionsextension/dist をパッケージ化せずに読み込むできる。どの鍵でも
ウェブウォレットcd app-web/vela-wallet && pnpm install && pnpm build。Cloudflare Worker としてデプロイするできない。自分のドメインでは別のウォレットになる(前述)
デスクトップcd app-desktop/vela-wallet && cargo run(パッケージ化のスクリプトは README に)できる。QR コードでつなぐスマートフォンか USB セキュリティキーで
Androidコアのバインディングを生成してから ./gradlew :app:installDebugできる。QR コードでつなぐスマートフォンか USB セキュリティキーで
iOS./rust/scripts/build-ios-xcframework.sh のあと、自分のチームで Xcode からビルドするできる。QR コードでつなぐスマートフォンか、USB-C / Lightning の YubiKey(ファームウェア 5.8 以降)で

自分でビルドしたアプリでは、getvela.app のウォレットに「この端末」のパスキーは使えません。Apple と Google は、Vela が署名したアプリにしか getvela.app のパスキーを使わせないからです。

Vela が内蔵していないネットワークを追加する

Vela は、P-256 プリコンパイルと、Vela が確認する標準コントラクトがそろった EVM チェーンなら、どこでも動きます。チェーンのセットアップで、そのチェーンに何が足りないかがわかり、誰でもデプロイできるものはそこからデプロイできます。要件はネットワークと手数料で説明しています。確認には、鍵を 2 本以上持つウォレットに必要な 2 つのコントラクトも含まれており、そうであることが明示されます。それらがないチェーンでも、鍵が 1 本のウォレットは動きます。

すべて置き換えても、Vela を向いたまま残るもの

ここまでのものをすべて置き換えても、次のものは残ります。

  • セキュリティキーの機種名を表示する認証器ディレクトリ —— 見た目だけの問題で、アプリは汎用の名前で代用します。
  • getvela.app の関連付けファイル —— ストア版のアプリが「この端末」のパスキーを使うのに必要です。スマートフォンやセキュリティキーには必要ありません。

そして、次のものは Vela のものではありません。公開のセレクターデータベース、スマートフォンでのサインインに使う Apple と Google のトンネル、そしてあなたが選ぶ RPC プロバイダーです。

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